第1回加賀温泉郷マラソン2013

今回も走ってきましたフルマラソン。これだけ走ってたら趣味はマラソンですと言っても良いのではないかと思います。
今回でフルマラソン挑戦は2回目、昨年の能登万葉は両足が痙攣して最後の方は歩いてしまいました。4ヶ月前に膝の手術をしたばかりですが、体を一から鍛え直して4時間半切り&歩かないことを目標として大会に臨みました。


大会は今年から「加賀温泉郷マラソン」とリニューアル、コースも一新されました。全体的に見ると前半は上り坂が多めで、後半は下りが多めです。ペースも前半は抑えて後半上げていく作戦です。作戦と言うよりも願望に近いのですが・・・


当日の朝は6時前に友人の車に便乗させてもらい金沢を出発します。何かの本でゴールの5時間前までエネルギーを摂取しろと書いてあったので、車内でもひたすらパンを食べ続けました。
現地に到着するとあいにくの雨、天気予報通りにスタート近くで晴れてくれることを祈りながら、シャトルバスに乗り込みます。会場でランニングチームのメンバーと合流し、着替えたり準備しているとすぐに時間が過ぎていきました。

https://instagram.com/p/YcSeMbOhEe/

そんな訳であっという間にスタート時間、5時間以内の場所に並んでスタートしました。祈りが通じたのか雨もいつの間にか小雨になっています。雨だけでなく気温も低かったので、100円ショップで買った雨合羽を防寒具として着て走りました。


今回は6:45/kmぐらいからスタートしてゆっくりとペースを上げていく予定です。前半は順調にペースを守りながら走ります。チームのメンバーとも抜いたり抜かれたり、その時に一言二言、声を掛けあいながら走りました。ここらへんは順調です。
7キロぐらいで片山津に下りていく下り坂でトラブル発生。下りをゆっくり走ろうと思っていたのに左膝が痛くて踏ん張れません。結果重力に身を任せ、スピードを上げて坂を下ってしまいました。最近は練習でも平地しか走っていなかったので膝の違和感に気付きませんでした。


左膝の調子が悪くなってきたので、10km地点で早くもロキソニンを投入しました。そして左膝をかばうからか右足の拇指球の辺りにマメが出来た感じがします。今回はマメの防止に厚めの靴下を履いたのですが、それが裏目に出たのかもしれません。片山津温泉山代温泉の区間はチームのK岡さんの背中を必死に追って走っていたので、景色をほとんどど覚えていないのが残念です。
山中温泉に入る辺りで先頭のランナーとすれ違います。K岡さんはチームのメンバーとハイタッチをしてどんどん調子が上がっていくのが後ろから見ててもわかります。自分はそんな余裕もなく後ろについていきます。


折り返して下り坂になると膝の痛みがひどくなり、足の豆も破れた感じがしたので20km辺りのエイドで2つ目のロキソニンを投入しました。怖くて靴下を脱いで確認することができません。
この辺りでK岡さんの背中が遠くなって心が折れかけます。膝も痛く、「リタイア」の言葉が頭をよぎりますが、ペースを落として歩かないようにゆっくりでも走り続けます。4時間半は無理でも歩かずに完走の目標は達成しようと思いました。


ペースを落としているので25km地点までどんどんランナーに抜かれていきます。無理して走ってるからか右のもも裏が痙攣しそうな気配がしてきました。25kmのエイドでハムストリングを伸ばしてもう一度ゆっくりと走り出します。
この辺りで後ろに人の気配を感じます。すぐにペースランナーにされてるなと気付きました。いつも自分が使う手です。
カーブするときに視界に入るのですが、結構近くて真後ろにいます。なんか怖くて振り返れません。それでも自分の中に新しい感情が芽生えます。
「ああ分かった。ついて来い引っ張ってやるよ」と。


そこからは義務感で走ります。見栄っ張りで人にいい所を見せたい性格なので、人のためなら意外と頑張れたりします。そうやって後ろの人と走っていると30km地点のエイドに到着しました。
エイドで補給していると後ろの人に声をかけられ、振り返ると同じチームのS崎さんでした。驚きました。
「いやー辛いですね!クリスさんについていきます!」
そう言われたらカッコ悪いところは見せられないと、無理して涼しい顔をして走り出します。そこから残り12.195kmを一緒に走ります。後ろから視線を感じるので辛くても歩くことができません。
正直助かりました。
30km地点を過ぎると歩いている人もちらほら、キロ7分ちょっとのペースでも他のランナーをどんどん抜いていけます。


残り3kmぐらいのところに北陸自動車道を越える高架がありここが最後の山場です。ここも歩かずに淡々と上り切りますが、下りで足が痙攣してしまいました。足がもつれていると後ろにいたS崎さんがここぞとばかりにペースを上げて抜いていきました。
ここまで来たらS崎さんと一緒に手を繋いでゴールしようかと思っていた自分が甘かったです。ランナーなら1秒でも早くゴールしたいのは当然、そういう意味ではS崎さんはガチでした。


追いかけようにも足が痙攣しているので追いかけれません。
ここで発想の転換をします。左膝をかばって右足が痙攣したのなら、思い切ってかばわなければいいのでは?と。体を前傾させてももの前とふくらはぎの筋肉を使ってS崎さんを追いかけました。痛みを気にしなければ意外と走れるものです。
ここからはお互いの出方を伺いながら走ります。結果、最後のエイドはスルーすることになりました。お互い一息入れたいけど、差がつくのが嫌なので休めません。何となく雰囲気でわかります。


エイドが過ぎたあとの上り坂で仕掛けました。個人的に上りのほうが膝が痛くないのでここで勝負にでます。
上りでもキロ6分を切るペースなのでどんどん他のランナーを抜いて行けます。さすがに付いてこれないだろうと振り返ると、ちゃんと真後ろにいました・・・
そうやって付かず離れず競技場に向かう最後の坂を上っていきます。


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坂の途中に「42k」の表示、残り195mをスパートします。残り約200mなら1分ほど我慢すれば良いと最後の力を振り絞ります。競技場に入る手前で他のチームメイトを抜くとゴールまであと僅かです。足の痛みも忘れ歩幅を広げてゴールに向かいます。


目の前ではゴールテープが張り直されます。ゴールまであと5歩くらい、最後は両手を上げてゴールしようかなとか考えながら気を緩めてしまいました。
その瞬間、猛スピードでS崎さんが横から飛びだしていきます。

「やられた」


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カッとなり全力で追いかけますが、あと残り4歩しか残っていません。軋む体を無理やり動かします。最後はギリギリ届くか届かないかのところで頭から突っ込みました。
ほとんど同着です。ただ頭から突っ込んでいったので、向こうの胸がわずかに前だったのが見えました。
その後、足が痙攣して倒れこんでしまいます。そうこうしてると色んな所が痛み出してきて、つま先を見るとシューズが血で染まってました。結構無理してきたんだなと実感しました。


それからS崎さんと握手してハグして健闘を讃え合いました。二人だからこそ完走もできたし、全力を出し切ることができました。目標タイムには届きませんでしたが、何故か清々しい気持ちでいっぱいです。
ちなみに記録は4時間52分19秒、一応能登より2分だけ縮めることができました。あと歩かずにゴールできたのも収穫です。


膝も痛いけど破れた血豆がどんどん痛くなります。靴を脱ぐ黄色い靴下がこんな感じに・・・(リンク先はちょっとグロいです)
長い時間走るので、厚手の靴下にしたのが失敗だったようです。医務室でガーゼを貼ってもらいました。



その後、チームのみんなと片山津温泉の総湯に行って汗を流します。
そして、お風呂後に念願のコーラを飲みました。


https://instagram.com/p/YcSsSYuhEl/


ずっとコーラ断ちをしてたので刺激が強く感じます。
というかロキソニンにやられた胃にはコーラがビリビリと染みました。
体も痛いし内蔵もやられて満身創痍ですが、不思議な達成感があります。前回のフルの後はもう二度とマラソンを走らないと思ったのに、今回は不覚にもまた走りたいと思ってしまいました。
足を直して金沢城リレーマラソン、こまつクロカンを走って、夏にはひょこり能登島のハーフを走ってみようかなと考えてたりしています。
なんか走ることが趣味みたいですね。


https://instagram.com/p/YXRY7aOhCD/