「夕凪の街 桜の国」こうの史代 双葉社

夕凪の街桜の国 (Action comics)
 とりあえずこの漫画は、平成十六年度の文化庁メディア芸術祭の漫画部門で大賞を受賞したということで知りました。どうもミーハーなもので大賞を受賞した漫画がどういうものか気になってしまうのです。
 「ヒロシマ」のお話。もともと原爆がテーマだと聞いていたけど、ほのぼのとした感じの表紙を見て「前向きに生きていこう」という内容かなと思っていたのですが、やられてしまいました。
 普通は戦争がテーマといえば説教臭くなりそうなものだけど、この漫画はそんなことも無く、難しいことを言っているわけでありません。ただ決して難解なわけじゃないけど、お気楽なものでもありません。
 戦後に生まれ、戦争を知らない世代として育ち、自分の中での戦争体験は「はだしのゲン」や「火垂るの墓」でしかありません。この漫画を読んだ感想というのは、何を言っているのか分からない訳ではないけど、何を言えばいいかよく分からないというのが正直なところです。
 本の中には「夕凪の街」と「桜の国」という二つの短編入っていて、この二つのつながりが絶妙で何度も読み返してしまいました。物語の出来もよく、さすがという感じです。

ダ・ヴィンチ「絶対はずさない!プラチナ本」
http://blog.mf-davinci.com/platinum/archives/2004/12/_840.html
文化庁メディア芸術プラザ
http://plaza.bunka.go.jp/festival/sakuhin/sakuhin/manga01.html